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About Koichi Murakami

女性がラグビー場に来ない理由

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「関西ラグビー協会坂田会長に、そこまで言って委員会!」と題する女子会が、6月11日、京都市国際交流会館で開催された。ラグビー人気向上のため、女性ファンの獲得が必要だという意見は多く聞かれる。昨季、東大阪市の花園ラグビー場で来場者アンケートが実施されたときは、観客の80%が40歳以上で、そのほとんどが男性だったという数字もある。今回はオフィシャルなものではなく、就任3年目になる坂田好弘会長が直接女性の意見を聞こうと、「女性目線でラグビーを考える」をテーマに開催された。フェイスブックの告知等で募った女性ファン20名が日頃から気になっている意見を坂田会長にぶつけた。筆者が進行役を務めた。
参加した女性は、40年以上観戦歴のある熱心なファンから、子供がラグビーを始めたことで関心を持ち始めた人、入社した企業にたまたまラグビー部があったという人などラグビーとの距離感はさまざま。年齢層は高かったが、娘さんや会社の後輩に聞き取り調査をした人も多く、幅広い年齢層の考え方を聞くことができた。
なぜ、女性はラグビー場に来ないのか。代表的な意見は次の通り。「トイレが汚い」、「寒い」、「おじさんの野次が汚く、怖い」、「ルールが分からない」、「華のある選手がいない」、「エンターテインメント性が低い」、「食事するところがない」、「カフェなど落ち着ける場所がない」、「子供を遊ばせる施設がない」、「授乳室、オムツを替える場所がない」、「ラグビー以外何もない」、「ラグビー情報を得るのが難しい」。
もっとも多かったのは、トイレの問題。これは女性には決定的に悪い印象を与えるようだ。トイレは、女性にとってはパウダールームでもあり、今のラグビー場のトイレでは化粧直しもできない。授乳室、離乳食を作る場所の必要性など男性は気づかない意見もあり、これらは全国どの競技場でも共通することだし、2019年のワールドカップ開催地も対応を考えなければいけないだろう。「怖い」という言葉は耳が痛かった。しかし、選手を罵るような野次を飛ばす人がいるのも事実で、女性ファンや子供達に恐怖感を与えていることに気づいてほしいものだ。
では、どうすればいいのか。寒さ対策に関しては、すでにブランケットの貸し出しや、花園ラグビー場の「こたつ席」がある。しかし、多くの競技場では寒さをしのぐ場所がない。トイレを暖かくし、屋外ヒーターを設置するなど、暖をとれる場所を作ることも必要だ。「ルールが分かりにくい」の補足として、「場内アナウンスで、反則名だけを言われても分からない」という意見もあった。

「より丁寧な場内アナウンス」、「試合に出ていない部員による観客席でのルール解説」、「無線LANで、スマホ等から解説を聴き、映像も見られるようにする」といったアイディアも出た。つまりは、快適な観戦空間をどう作るかということだ。
この日集まった女性は熱心なラグビーファンばかり。「生身の人間がぶつかり合うのは迫力がある」、「肉体美が素晴らしい」、「選手がフレンドリーでファンとの距離が近い」、「ゲーム自体が面白い」、「イケメンが多い」、「人間性が高まるスポーツ」と、ラグビーの魅力についてポジティブな意見も聞かれた。これらを生かす工夫として、「選手とファンが触れ合う機会を増やす」、「イケメン選手のメディア露出を高める」など、選手を身近に感じれば応援したくなるというファン心理をつかむ企画がほしいという要望があった。人間性が高まると発言したのは、息子さんが高校のラグビー部で変わっていく様子を見守ったお母さんだった。「高校、大学、社会人というカテゴリー別の開催ではなく、一日ですべてのカテゴリーが見られれば高校生の保護者も大学や社会人のファンになる」という声もあった。慣例を見直すことも必要だろう。
「著名なタレントにイメージキャラクターになってもらう」、「アイドルグループなどとのコラボ」、「選抜チームをブランド化する」、「インターネットによるラグビーのニュース配信」ほか、アイディアは尽きない。ラグビー情報については、各協会、チームのホームページも充実してきているが、いずれもそこにアクセスしなければ見られない。「不特定多数の人が見ている場にラグビー情報がなければ広がらない」というもっともな指摘も。これらの意見に対して坂田会長も真摯に受け答えし、関西協会の取り組みについても説明した。
ラグビーを見たことが無い人を競技場に連れて来るには試合の質の向上ほか、競技場にも魅力がなければならない。友達を誘いやすい企画チケット、サポーターズクラブの特典も一工夫したい。ハード面の改善はすぐには難しいかもしれないが、観戦初心者を温かく迎え入れ、長くファンでいてもらう接し方はできるはずだ。観客に優しく、快適なラグビー場、競技場作りを始めなければならない。ファンの皆さんが、ヒントはたくさんくれる。実行を急ぎたい。2019年のラグビーワールドカップはすぐにやって来る。