BLOG 楕円紀行

About Koichi Murakami

ラグビーは、フィフティーン

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11月23日、女子ラグビー交流大会が東京都江戸川区陸上競技場で開催される。1988年から始まった大会で、第26回を迎えた。当日のプログラムに寄稿した文章をご紹介したい。
この大会は、15人制で行われるのだが、女子の場合は7人制が主流になりつつあり、15人制をあまり経験していない選手が増えている。そこで、ちょっと待てよ、と書いたものだ。

【7人制と15人制ラグビー】 ラグビーの面白さってなんだろう。ボールを持ってどこまででも走ることができる「自由性」だと多くの人が言う。もうひとつは、「多様性」だろう。
ボールを持って走り、パスし、キックする。相手を捕まえて倒し、ボールをもぎとり、スクラムを組んで押し合い、天高く舞い上がったボールを奪い合う。どんな競技から転向しようとも、ラグビーには必ずその得意技を生かせるプレーがある。体型もまたしかり。古くから言われている通り、背が高い人、低い人、太った人、痩せた人、どんな体型にも適したポジションがある。
私はラグビーのアイデンティティーとも言える多様性を愛する。いろんなタイプのたくさんの仲間がいるからこそ、ともに泣き、ともに笑うことが、より楽しくなる。だからこそ、多くの人々にこのスポーツを知ってほしいと思うし、プレーしてほしいと願うのだ。そして、改めて思う。多様性は15人制ラグビーにおいて顕著に表れるものだと。

7人制ラグビーがオリンピックの正式種目に採用されてこともあって、世界中で7人制に特化した強化が行われるようになった。競技の特性上、求められるフィットネスの質が違うのは理解できるし、特化したほうが手っ取り早く強化できるのは確かだろう。日本もその流れに乗るのかもしれない。
しかし、7人制はあくまで15人制のエンターテインメント性の高い部分を抜き取ったものだ。短時間、低コストでたくさんの試合を楽しむためにできたのが起源である。
ラグビーの総合的な技能を学ぶには、まずは15人制を経験すべきだと思う。8人のスクラム、FW全員が並ぶラインアウト、大人数のモール、ラック、BKのさまざまなムーブを経験し、スキルを磨く。その中で7人制向きの選手が見つかり、サクラセブンズに選ばれ、世界の7人制大会を転戦する。15人制と同じ広さのグラウンドで7人がプレーするのだから、個々の受け持つスペースは広くなり、個人のタックル技能や、ステップワーク、パスワークは磨かれる。その個人技を次は15人制に生かすのが理想だろう。選手の個性によって向き不向きがあっても、選手は7人制と15人制を往来すべきだ。
野球は「ナイン」、サッカーは「イレブン」、ではラグビーは? クイズ番組でそんな出題があったら、迷わず「フィフティーン」と答えが出る。そんな時代が続いてほしい。古い考えと叱られるかもしれないが、ラグビーのアイデンティティーは守りたいのだ。オリンピックによって、7人制が隆盛を極めたとしても、15人制の火を消してはいけない。