BLOG 楕円紀行

About Koichi Murakami

数字で見るトップリーグ

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日本ラグビー最高峰のリーグ「ジャパンラグビートップリーグ2013-2014」が、8月30日(金)、秩父宮ラグビー場(東京都港区北青山)にて開幕する。三連覇を狙うサントリーサンゴリアスは、春夏の練習試合で黒星が続き、優勝争いは混戦模様だ。
8月26日、開幕前に全チームが集う記者会見が行われた。今回は、当日、配布された資料(データスタジアムによる)から数字的な面でトップリーグを見てみたい。まずは、「過去5シーズンでの得点内訳の比較」。2008-2009シーズンは、総得点が4,903点。2012-2013は、5,024点と伸びているが、トライ数は668→662→658と、2年連続で前年比減となっている。ペナルティゴール(PG)と、ドロップゴールの増加で総得点が伸びている。これをどう見るか。手堅い試合が多くなったという印象はなく、むしろ、成熟した試合運びが増えてきたといえるかもしれない。
昨年の得点をチーム別で見てみると、1チームだけ、トライ数より、PG数が多い特異なケースがある。昨季9位のNTTコミュニケーションズだ。23トライ、29PG。優勝したサントリーは、64トライ、23PGだからトライ数の差は歴然。林雅人監督が今季の目標を「得点力の向上」とするのは当然だろう。ただし、NTTコミュニケーションズは、失トライが「36」で、これはサントリーの「35」と変わらず、リーグで7番目に少ない数字だ。この防御力を継続して攻撃力を上げることで順位は確実に上昇することになる。
「トライ起点プレーデータ」も興味深い。数字的に伸びているのは、「ターンオーバー」からのトライで、チーム別では、サントリーのトライの33%がターンオーバーからで最も多い割合になっている。ターンオーバーからのトライは、ここ4シーズンは、「ラインアウト」の次に多い起点だ。続いて「スクラム」、「その他」の起点となり、もっとも少ない起点は、「カウンターアタック」。世界で一番人気のある国代表チームであるニュージーランド代表オールブラックスが、カウンターアタックからのトライを得意としているのを思えば、トップリーグでももう少しカウンターアタックからのトライを得意とするチームがあっていい気がする。

崩れた状態からの攻撃を得意とするチームがトップリーグに少ないということなのだが、カウンターアタックからのトライはダイナミックで魅力があり、チームの人気を高める要因になるはずである。昨季、カウンターアタックからのトライの割合が一番多かったのはキヤノン。昨季、そのプレースタイルが人気を博したのもうなずける。
オフィシャル・ファンブックには、個人のコンタクト回数や、パス回数も掲載されているが、コンタクト回数では、2年連続MVPのジョージ・スミスが244回で1位。2位は、トヨタ自動車の菊谷崇の219。トップ15のうち、実に12名が海外出身選手だ。各チームが海外出身選手に突破役を担わせている現状が見える。パス回数のトップは近鉄の金哲元で、1001回。サントリーの日和佐篤が2位につけるが、フーリー・デュプレアと交替することが多いからで、この2名を合わせると、1281回になる。最もパス回数が多いのは、サントリーだが、コンタクトするまでのパス回数が一番少ない。SHからのパスで相手防御をコンタクトすることが多いサントリーの特徴を表すものだ。全体的に見て、できるだけ少ないパス回数でゲインラインを越えようとするチームが多くなっている。ただ、ワンパス、クラッシュというスタイルは、短調でもあり、数多くのパスをしてからコンタクトするチームのほうが、ファンをハラハラさせるだろうし、「面白い」という印象を与えるはず。
さて、今季はどんな傾向が出るのか。日本最高峰リーグとして、観客を喜ばせながら勝つチームがたくさん出現することを期待したい。