BLOG 楕円紀行

About Koichi Murakami

お笑いとラグビー

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高校は常翔学園が17年ぶりの優勝。大学は帝京大学が4連覇、そしてトップリーグはプレーオフのファイナルでサントリーサンゴリアスと東芝ブレイブルーパスが対戦する。佳境だが、今回は、お笑いとラグビーの「間」について書きたい。
1月9日(水)、10日(木)、東京・ルミネtheよしもとにて、『ラグビー新喜劇』が開催された。僕は、両日のトークコーナーで、スリムクラブの真栄田さんと一緒に進行役を務めたのだが、ラグビー芸人さんたちの、話の拾い方、突っ込みの面白さに感心させられた。木村祐一、ケンドーコバヤシ、サンドウィッチマンなどもラグビー経験者。今回の仕掛け人である「なんばグランド花月」の新田支配人によれば、芸人さんがラグビーを経験していた割合は、野球、サッカーに比べて異常に高いのだそうだ。
面白い人がラグビーのするのか、ラグビーをすると面白くなるのか。興味深いテーマである。僕は、ラグビーを選ぶ人というのは、エネルギーがみなぎった元気な人だと思っているので、きっと多くのラグビー選手は潜在的に面白い。それが表に出るかどうかなのだという気がする。
面白いと思うのは、多くのラグビー芸人さんが、100点ゲームをされた経験があるということ。今回のトークコーナーでも、サンドウィッチマンがボロ負けした話をしていた。今回は出ていなかったか、ジャルジャルもラグビーネタを話すときは、必ず100失点の話をする。なす術なく蹂躙されているときは最悪の気分だが、後に思い起こすと笑えるのが三ケタ失点。いや、笑うしかないということか。僕も80点台の失点というのがあったが、当時はトライが4点だったから、いまなら100点近かった。お笑い芸人さんの成功をみると、あの、どうにもならない敗北感、屈辱感というのは、一度味わってみるのも悪くない気がする。

ラグビー新喜劇が開催される前に、ラグビーマガジン別冊「大学選手権展望号」で、スリムクラブの真栄田さんにインタビューしたことがある。その時、彼は言った。「お笑いとラグビーは共通点ありますよ。漫才をするとき、僕も、タイミングを見計らって、引き付けて、引き付けて内間(相方)にパスする。『アメトーーク』(テレビ朝日のトークバラエティ)はラグビーそのものです。一人が突っ走っても場はシラケる。チームプレーという意味ではラグビーとお笑いの意識は同じです」。
ビートたけしさんの、「間抜けの構造」(新潮新書)という本が売れているが、お笑いもラグビーも「間」が大事だ。ラグビーの場合は、「間合い」という言い方をよくする。広辞苑では「何かをするのに適当な距離や時機」とある。ボールを持った選手が、タックラーとの「間合いをずらす」とタックルをかわせるし、逆にタックラーが「間合いを詰める」と、ボールを持った選手はパスもできず、ステップも踏めずに捕まってしまう。スクラム、ラインアウト、モール、ラック、いろんなところで体をぶつけ合いながらボールを奪い合うラグビーは、常に相手との「間合い」を計るスポーツだ。ラグビーは「距離」、お笑いは「時機」という意味合いが強いが、この「間」のコントロールを楽しむことが、ラグビーとお笑いをつなぐものなのかもしれない。
さて、トップリーグが終われば日本選手権。海外では、田中史朗、堀江翔太、マイケル・リーチが参戦するスーパーラグビー、北半球ではシックスネーションズなど、さまざまな大会が始まる。間のいい選手、間抜けな選手を探しながら楽しんでみてはどうだろう。