またまた、すっかりごぶさたしました。いったん間隔を開けてしまうと書きづらくなるものですね。今後は、きちんと月イチで書いていきたいと思います。申し訳ありませんでした。それでは本題です。
前回のコラムでは「世界のラグビーシーンはこれからが面白い」と題して、南北半球の選手権を紹介した。北半球のシックスネイションズでは、フランスが2年ぶりに優勝。イングランドのプレミアシップは、12チームによるホーム&アウェイの総当たり戦の末、トップ4が準決勝に進み、セール・シャークスとレスター・タイガースが5月27日、トゥイッケナム競技場で決勝戦に臨むことになった。ヨーロッパの強豪クラブ24チームで争われたハイネケンカップは、5月20日が決勝戦。フランスのビアリッツとアイルランドのマンスターが、カーディフのミレニアムスタジアムで相対する。しかしながら、この2つの選手権については、日本ではテレビ放送がない。
スカパーやケーブルテレビで視聴可能のJSPORTSでは、南半球スーパークラブ選手権「スーパー14」を全試合放送している。こちらも14チームによるリーグ戦を終え、プレイオフ(準決勝=5月19日、20日、決勝=5月27日)が行われる。準決勝の対戦は、クルセーダーズ(NZ)対ブルズ(南ア)、ハリケーンズ(NZ)対ワラタス(豪州)だ。視聴可能の方はぜひ。
宣伝のようになってしまったが、今回書きたいのは、南アフリカのディフェンスのことである。最終週、プレイオフ進出の最後の4席目に滑り込もうと奮闘したブルズのディフェンスは凄まじかった。相手がパスを受ける瞬間にピンポイントでタックルに入ってミスを誘い、あわやインターセプトのシーンが何度もあった。
世界トップレベルのディフェンスは、しっかり横一線になって穴を作らないようにタッチライン側へ押し出すスタイルから、さらに激しく前に出るスタイルに進化しているのだが、南アフリカはもともと思い切って前に出るスタイルであり、相手選手との間合いを詰めるのが抜群に上手い。
南アのディフェンス理論については、2月25日発売のラグビーマガジン別冊春季号「ラグビークリニック」に詳しく紹介されている。簡単に書けば、オーストラリアや日本が内側からタッチライン方向に押し出すようにディフェンスしていくのに対して、南アフリカは外から内へプレッシャーをかけることが多い。攻撃側が何かを仕掛けようとする前に、スペースを消し、パスのコースを限定させ、強いタックルに入るのだ。もちろん、選手個々のディフェンス能力の高さがこのシステムを可能にしているのだが、相手がスピードに乗る前に潰すのは身体の小さな日本チームにも必要なことだ。
こう書きたくなったのは、現在の日本代表のディフェンスがあまり前に出ないからである。アラビアンガルフ代表、韓国代表、グルジア代表に3連勝はしているものの、ディフェンス面では簡単にゲインを許す場面が多く、強豪国との対戦には不安を残す。
日本が世界と戦って健闘するときのパターンは決まっている。素速く前に出て、一人目が確実に足首に入り、攻撃の芽を先手先手で摘んでいくときなのだ。
エリサルド・ヘッドコーチ指導の下、相手のいないスペースに効率的にボールを動かす面では、次第に方向性が浸透しているだけに、さらにアグレッシブなディフェンスを日本代表には期待する。とにもかくにも、みなさん、一度ブルズのディフェンスを見てみてください。