BLOG 楕円紀行

About Koichi Murakami

02nd 感動するにも体力がいる

backBtn

旨い焼き魚で芋焼酎をグイっとやりたい。そんな気分である。やっと2003年度のラグビーシズンが終わった。長かった〜。
昨年3月下旬の日本代表豪州遠征から始まって、9月のトップリーグ(TL)開幕、10月〜11月はオーストラリアでワールドカップ。ずっと現地に行っていた。イングランドとオーストラリアの決勝戦は過去に観戦した試合の中でもベスト3に入る感動的内容だった。ラグビー愛好家にとって至福の時間を過ごしたわけだが、この時点で2003年度に感動する体力は、ほぼ失われつつあった。しかし、息つくヒマはなかった。大学選手権、トップリーグの優勝争い、マイクロソフト杯、日本選手権、どれも白熱の攻防だった。特にTLの神戸製鋼とNECの試合にはしびれた。優勝の可能性のないNECが最後まで食らいつく。選手としてのプライド以外の何モノでもない。NECは、いいチームになった。
しかしながら、日本選手権が3月下旬まであったのはさすがにきつかった。決勝戦の観客が2万人に達しなかったのは人気低迷というより、見る方の体力の問題だった気がする。感動するにも体力がいるのだ。
そんな中で優勝した東芝府中は、長いシーズンの最後までモチベーションを保ち立派だった。釜澤、島崎、松田ら、97年から99年に3年連続日本一となった当時の主力メンバーが残り、V3最後の年に入社した伊藤、品川といった中堅選手が融合した状況は、かつての神戸製鋼とだぶる。神戸もV7最後の年に伊藤剛臣、元木、増保らが入社し、その後いったん勝てなくなるが5年後に復活した。東芝も5年ぶりの優勝である。主力選手がごっそり抜けた後は、いくら優秀な選手を獲得してもチームの熟成に5年はかかるということだ。

日本選手権を見ていて思ったことがある。大学と社会人の対戦は、もうやめたほうがいいのではないか。早稲田と関東学院の健闘で分かるように十分試合は成立する実力差である。明らかにパワーで劣るモノがいかに工夫をして戦うか。ここに価値があるのは分かるし、学生の清々しい挑戦がラグビーファンに人気を得ているのも理解できる。しかし、現状の日程では大学側は大学選手権が終わってから1か月以上間隔を空けて試合に臨まなくてはならない。今回もほとんどの大学が準備不足だった。社会人側も格下の学生相手の試合というのはやりにくいものだ。なにより、社会人はTL開幕で急速にプロ化への道を歩んでいる。原則アマチュアの大学とは分離して考えるべきだろう。社会人と大学が戦う理由にはいつも無理がある。ラグビーを広くスポーツファンに親しまれるモノにしたいなら「わかりやすさ」がキーワードである。
さて、やっとシーズンが終わったと思ったら、萩本光威氏の日本代表監督就任とともにメンバーも発表になった。ラグビージャーナリストは休んじゃいけないみたいだ。こんなこと書いていると日々ラグビーに関わるセプターのみなさんに叱られるかな。