アイルランド戦の2連敗。若年層からの一貫した強化を継続しなければ日本ラグビーの明日はない。心ある関係者やメディアが言い続けてきたことを再認識させられた。
6月と11月は南北半球の対決シリーズを軸に国代表同士の試合が世界各地で行われる。6月25日は、南アフリカと対フランス、ニュージーランド(NZ)対ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのビッグマッチが行われて、世界の注目を集めた。結果は、南アとNZが勝ち、ホームの意地を見せた。世界のトップレベルを見ていつも痛感することだが、大きな選手が本当によく動く。何度も何度もひたすら激しいタックルを繰り返す南アには驚かされるし、相手の反則でPKを得るや間髪入れずに攻めるNZのスピードには感心するしかない。NZとライオンズの試合は、7月2日、9日にも行われるので予断は禁物だが、NZ優位は動きそうもない。
6月は日本にもアイルランド代表がやってきて2テストマッチを戦ったが、アイルランドの基本に忠実なプレーばかりが目立ち、日本はゲームプランのはっきりしない戦いぶりに終始した。首脳陣の責任は重大なのだが、加えて日本のコーチングシステムの問題点も浮き彫りになった。この春の日本代表は、フランス人のアドバイザーを招き、守りから攻めへの瞬時の切り替え、個人の判断で防御網にスペースを作る攻めなど、フランス流の導入を図った。しかしながら、この導入は頂点の日本代表にのみ行われ、19歳以下代表、B代表、A代表に対しては何もなかったのだ。場当たり的な強化と言われても致し方ない。
毎度敗因はプレッシャーの強い試合経験の少なさ。このままではエイジレベルの強化が進まぬ日本ラグビーの課題は、いつまでたっても改善されない。たとえば、NZはライオンズを迎え撃つオールブラックスの下に、今季より21年ぶりにジュニア・オールブラックスを結成して、代表予備軍をオーストラリアに遠征させ、21歳以下代表は、U21ワールドカップに出場。4月はU19の世界大会にも参加している。アイルランド代表もエイジレベルの強化が成功して安定した強さを手に入れた。強豪国では次々に世界レベルの選手を生み出すシステムがうまく機能しているのである。翻って日本はどうか。U19の世界大会こそ出場しているが、U21W杯については、2003年を最後に参加すらしていない。
U21W杯は2002年から始まり、日本も参加して9位に食い込んだ。このあたりでは、日本のエイジレベルの強化もようやく本格化すると期待されていた。ところが翌03年は12チーム中、11位。これが悲劇を招く。明確な出場規定のないU21W杯は04年、前年10位以内のチームと、南太平洋、欧州地区からの代表の12チームに出場国を決めてしまったのだ。
05年大会は日本不在のままアルゼンチンで行われ、6月25日の決勝戦で南アがオーストラリアを24-21で破り優勝。最終順位は以下のようになった。1南ア、2オーストラリア、3NZ、4フランス、5アルゼンチン、6スコットランド、7イングランド、8ウエールズ、9アイルランド、10サモア、11カナダ、12イタリア。
この中に日本が入っていないのは、いかにも痛い。各国の若い選手達はこの大会を土台に世界の舞台へ出て行くのだ。なんとかして出場の道を探らねばならない。そして、舞台が整った中での継続した強化を。日本ラグビー未来のために関係者の英知を結集してもらいたい。