北半球最高の実力を誇るプロ・クラブリーグ、イングランドのプレミアシップは、12チームが所属し、ホーム&アウェイの総当たりで行われている。昨年9月に始まった2003~04シーズンは、今年の5月まで続くが、現在はバースが独走中、8年ぶりの優勝に向けて順調な戦いぶりだ。
イングランド代表主将ダラーリオのいるロンドン・ワスプスが2位、ノーサンプトンが3位につける。同国代表が昨秋のW杯で優勝したことで、国内はラグビーブーム。1万人前後収容のスタジアムが多数をしめる各会場は、大入り満員が続いている。
私は、スポーツ専門テレビの「ジェイスポーツ」で、時折、このリーグの解説をする。
世界最高のエンターテイメント・ラグビーと呼ばれる南半球の「スーパー12」は、ボールがめまぐるしく動き回って楽しいのだが、プレミアシップのゲーム内容はキック主体で局地戦が多く、正直言うと、眠くなってしまうときがある(もちろん、眠ってませんよ)。しかし、190㎝、100㎏のバックスが普通の巨漢選手たちが激しくぶつかりあい、19、20歳といった若い選手が次々に台頭してくる様を見ていると、イングランド代表の強さは当分続くと確信する。W杯が証明したように、勝負に執着した集中力ある戦いは格別の味わいがある。毎週のようにタフな戦いを続けるプレミアシップには、腰の据わった「強さ」をひしひしと感じるのだ。
南半球が地域協会の選抜チームを軸にプロ化したのに対して、プレミアシップは、既存のクラブをプロ化し、それぞれに21歳以下を筆頭に若手チームが存在し、各クラブの育成プログラムで育った優秀な選手たちは、19歳くらいでプロ契約していく。そして、21歳以下同士の試合や、控え選手などを主体にした「Aリーグ」(今季より新設された)に出場して腕を磨く。世界トップレベルの選手に囲まれ、試合の機会を与えられていけば、当然選手は成長する。現在は、北半球のメインイベント、6か国対抗が行われているが、プレミアシップは休まない。昨秋のW杯期間中も休まなかった。各クラブは中心選手を代表チームにとられながらも、残りのメンバーでリーグを戦っていくのだ。
このあたりはW杯の最中にトップリーグを休止しなければいけない日本とは選手層に大きな隔たりがある。日本のラグビーの関係者は、「イングランドだからできること」と言うが、日本だって、それを目指すべきだ。オーストラリアで行われているW杯のために、国内の試合がなかったら、日本にいるファンは寂しいし、代表以外の選手の試合経験は不足する。せめて、その時期にカップ戦など開いて、若い選手には試合の機会を与えればいい。日本ラグビー全体の底上げには、できるだけ多くの選手に質の高い試合を経験させることが大切なのだ。
初めてこのページに書かせていただいたのに、好き勝手なことを書いてしまった。プレミアシップを見ていて、いつも感じていることだから、ご勘弁を。